「届ける」から「伝わる」メディアへ vol.2
【インタビュー】ICT企業のトップランナーとしてオウンドメディアを運営する富士通のデジタルコミュニケーション活動とは?
富士通さまのデジタルマーケティングの取り組みについて、グローバルマーケティング本部 プロモーション企画統括部 プロモーション推進部 シニアマネージャーの駒村様に話をお聞きしました。
嶋瀬 「FUJITSU JOURNAL」のコンテンツはどのように決めて制作しているのでしょうか?
駒村様 プレスリリースや生活の中で気になるニュースなどから情報収集を行い、面白いものについて背景を調べたり、データや資料など情報を集め、コンテンツ制作をしています。編集会議を行っては、企画したコンテンツの配信方法やスケジュールをすり合わせ、ソーシャルメディア上の反応もチーム内で共有しています。「ニュース・トピックス」「イベントレポート」「リファレンス」「テクノロジー」などのコンテンツがあり、自分たちで書いているものもあります。ライターが書いたからいい記事なるという訳ではなく、自分事化できるコンテンツかどうかが重要です。
嶋瀬 どのような記事が人気ですか?
駒村様 2015年10月の人気記事のランキングを見ると、1位は京がGraph500というビッグデータの解析でまた世界1位になったという記事です。このような記事は多くの方々に応援してもらえるため、反応がとてもいいです。2位は、自分が暮らす町は全国で何位かという自治体のソリューションの話です。オープンデータで、同じ軸で都道府県の情報、例えば病院の数とかを比較できるサービスですが、このような記事は、自分の住んでいる町はどうなのかと自分ゴト化しやすく、興味を持ってもらえます。3位は富士通がレタスを作っているという記事になります。会津若松の元々半導体工場だったクリーンルームでICTを使い低カリウムのレタスを作っています。腎臓病の方はカリウムを摂取することができず、生野菜を食べることができなかったのですが、低カリウムにしたことで、そのような疾患のある方も食べられることをクリーンルーム内の映像とともにご紹介している記事で、この記事は1年以上経った今でも非常に人気です。このコンテンツの映像はその後TVでも取り上げられました。
嶋瀬 情報量が増えるに伴い、コンテンツの消費期限がすごく短くなってきてしまっています。せっかく作っているものをいかに資産化していくかを、我々もよく話をしています。
コンテンツマーケティングと言うと、コンテンツを作る部分と、実際にそれをマーケティングする集客の部分があると思いますが、集客にOutbrain以外ではどういったチャンネルを利用されていますか?
駒村様 コンテンツの閲覧機会を拡大するために、自社のメールマガジンやソーシャルメディアに加え、リスティング広告、ネイティブ広告を組み合わせて活用しています。ソーシャルメディアは、社員やお客さまなど、ファンがそこにいるので、ファンに知ってもらい知ってもらい、ファンに推薦してもらうことでし、コンテンツを見に来てもらえたらと思っています。リスティング広告は具体的なキーワードで情報を検索しているニーズ顕在層へのリーチに、ネイティブ広告はニュースサイトなどで情報を見ているニーズ潜在層へのリーチを中心に利用しています。Outbrainはニーズの潜在層に対してのリーチだと思います。
嶋瀬 効果の比較では、リーチとエンゲージ、どちらのほうを重要視されていますか?
駒村様 すごく深い質問ですね。エンゲージです、理想は。お客さま富士通のことをもっと知ってもらいたいですし、富士通の新しい技術を使ってみたい、ビジネス・パートナーになりたいと思っていただけると嬉しいです。そのためには、共感やエンゲージメントが必要です。しかし、エンゲージメントを語るには、ある程度のリーチがあって、そもそも見てもらえていないといけない。その上で見てもらうだけでなく、理解してもらえているかということだと思います。届いていないことにはエンゲージメントを言う資格がないんじゃないかと思っています。だから、まず届けて、その上で理解してもらいたいと考えています。届くだけじゃなくて、相手が理解してくれて初めて伝わったと言えると思います。「届ける」だけでなく「伝える」ことでエンゲージメント向上を目指していきたいですね。
嶋瀬 Outbrainをどのようにご評価いただいていますでしょうか?
駒村様 Outbrainのすごい所は、ちょっと古めの記事でも見てもらえることです。「FUJITSU JOURNAL」のおすすめエリアでは、新しい記事、旬な記事を積極的におすすめしていますので、古めの記事をおすすめすることはあまりありません。しかし、Outbrainで関連するものとしてレコメンドされるので、古い記事であっても、それがその人のそのときの興味・関心事にヒットすることでかなり自然な形で見てもらうことができます。実際、1年以上経った記事が、今でも非常に人気で、資産になっているものもあります。
また、集客としては、いろいろな情報を探している人に記事を見てもらえます。その記事の内容が知りたくて訪問している人なので、滞在時間も長いし、訪問後も探している情報の関連から見てもらえるから結果としてもいいし、コストパフォーマンスもいいです。
嶋瀬 今おっしゃっていただいた集客のところで言うと、Outbrainユーザーは読み物モード、つまり何か情報を欲している中で、自分の興味でクリックすると思うのですが、実際、数値で見て、例えばソーシャルやキュレーションメディアなど他のいろいろなチャネルからの訪問者を見たときに、Outbrain経由の集客は数値的なパフォーマンスはどうですか。
駒村様 結構いいですよ。一般的にオンライン広告はやはり直帰率が高まったり、滞在時間が短くなったりする傾向がありますが、Outbrainは数字が落ちません。そこは、タイトルで気になって内容を知り、興味を持って来ている人だから見られているのだと思います。せっかくアドテクでニーズをマッチングできたとしても、期待したコンテンツになっていないと失望される可能性もあるので、来てくれた訪問者の期待に応えられるような質の高いコンテンツを提供しなくてはなりません。そこは、集客とコンテンツの両輪が重要だと思っています。
嶋瀬 今日は「届ける」だけではなくて「伝える」ことの重要性、またユーザーに響くコンテンツに賞味期限はなく、単発的なキャンペーンと違い、資産として残っていくということを教えていただけたと思います。貴重なお話をありがとうございました。