2015年のベスト・ネイティブアド
ベスト・ネイティブアド2014年では、前年に比べ、全体的に質が上がったと同時に、透明性、信ぴょう性、編集価値については、まだまだ改善の余地があるというのが正直な感想でした。
2015年は、昨年に引き続き質が向上したとともに、多くのパブリッシャーが、はっきりとネイティブアドに “スポンサード広告” と表記するようになりました。本当の意味で制作の価値が一段上がったといえます。
もちろん、成熟していくにつれ問題点もでてきました。記事を見てもらうのが、非常に困難になってきています。目論見に反し、ビジネス関連のニュースにまつわる記事や、非常に特徴的な検索などのネイティブアドが見つけられにくくなっている状況です。さらに、宣伝に過度に偏りすぎた違和感のある広告や、あまりに奥ゆかしすぎて、ブランドとコンテンツ間の意味のあるつながりを築けなかった広告もあります。
ブランドの目的に合ったトピックスと、オーディエンスが実際に知りたいと思う情報のバランスは、絶妙さが必要です。しかし、この2つのバランスがとれたキャンペーンは、以前よりもさらに多くなってきています。
では、これまで目にした中で、進化を遂げたネイティブアドキャンペーンを紹介していきましょう。
第5位 A Race Through Time – 時を超えたレース
制作: FORZAとMashable
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“A Race Through Time (時をこえたレース) ~大人になるまでにやらなくてはいけない10のレースゲーム~” は、多少宣伝の要素が入っているものの、認知度をあげた点で評価できるキャンペーンです。
“A Race Through Time” は、90年代のノスタルジーを活かした、ゲーマーにとって面白くかつ賢い、会話がしたくなる価値あるものでした。そして、ブランドが同じ目標を掲げ続ける限り、FORZAは単なるモータースポーツブランドではなく、人気ポップカルチャーの一角を担う存在と認識してもらえるのではないでしょうか。
第4位 ベッドルームのアイデアA to Zzz
制作: IKEA とThe Telegraph
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このカテゴリーでありがちな“ベッドルームのアイデアA to Zzz”は、今年のネイティブ広告において、唯一の眠りに関するトピックスだったわけではありません。しかし、これは間違いなく最も面白いキャンペーンの一つだったといえます。仮に、睡眠に関する問題を直接解決するヒントがなくても、IKEAソリューションで解決の糸口を得ることができる仕組みになっています。それでも、商品の押し付けがましい宣伝はなく、不快に感じることもありません。それどころか、IKEAのカタログの精神を拡張する存在だったといえるでしょう。そう、世界で最も特徴のあるマーケティング資産の一つともいえるカタログです。わざわざ一から作りなおさず、何年も語られているストーリーを、効果的に続けるためのフォーマットを使った、ブランドの素晴らしい見本だといえます。
第3位 ハリウッドの謎
制作: Bleecker Street Studiosと ニューヨーク・タイムズ
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この作品に関して特筆すべきは、映画の世界からでてきた点でしょう。これまでにおける、このカテゴリーの代表作といえるのではないでしょうか。“ハリウッドの謎” は、ハリウッドの歴史上、うやむやになったままの出来事に光をあてたものです。映画 Trumbo でユーザーの関心をひき、主人公は政治犯としてブラックリストにのった映画作家の役にBryan Cranstonを抜擢しました。 Timeの読者がまさに喜びそうな内容です。それゆえ、芸術ページの特集として扱われたのは想像に難くないでしょう。
コンテンツの最後に、オーディエンスはTrumbo の短編を見るよう促され、そのページから直接映画のチケットを買える仕組みになっていますが、広告がコンテンツを邪魔することなく、流れの最後にいい具合に溶け込んでいます。
実際に、もし広告主がネイティブ広告の効果に期待しているとすれば、このように購買に結びつけるという意味のある結果を引き出す可能性を追求したいと思っているのではないでしょうか。これは見事にその期待に応えた、効果をあげられた一例となっています。
第2位 ワーキングベター
制作: ゼロックスとThe Atlantic
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我々が選んだB2Bにおけるトップは“ワーキングベター”です。サイトに入っていくと、人員配置、生産性、アジリティ(敏捷性)から、まずどのトピックスに興味があるかを聞かれます。これは、あなたのビジネスのためにこの三つの言葉を使い、かつゼロックスの潜在的価値を端的に表現しています。そして、どれも実行が可能なようによく練られています。
それぞれ業界によって、他とは一線を隔した広告を作るために、デフォルトのスポンサードコンテンツの作法があるようです。“いかにしてXはYの未来を変えたのか”というような記事で紹介されがちな、ビジネスやテクノロジー分野において、ゼロックスは他とは違う上手い展開を行うことができています。
第1位 Cocaineomics (コカイノミクス)
制作: Netflixとウォール・ストリート・ジャーナル
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我々は最初の“Cocaineomics”のレビューから、多くの新しいスタンダードに気付きました。リッチなモーショングラフィック、動画、文章の組み合わせが普通になりつつある中、トピックス、ブランド、そしてパブリッシャーのオーディエンス間の配置が素晴らしいのです。“Cocaineomics”に密かに隠されたトリックはいうまでもありません。スペイン語のオプション、おすすめの本、モジュールのシェア、 目次に見合った十分な情報、テストのようなクイズ、そして演劇Narcosからのクリップの賢い使い方も見事でした。まるでドラマチックなドキュメンタリーが再上映されたような感じです。
“Cocaineomics”は偶然の産物ではありません。昨年受賞した広告も含め、Netflixは自然と熱い注目を集める、この分野の発展において代表すべき存在といえます。そして、パブリッシャーとの協業、一連の素晴らしい結果の達成により、Netflixは効果的に次なるコラボレーターに前回よりもさらによい展開ができるようプレッシャーをかけています。 その結果、Netflixの事例は、スポンサードコンテンツを通じ、ネイティブ広告を独自の芸術にまで押し上げたといえるのではないでしょうか。
我々はこの芸術の形が、来年どのように進化するのかを楽しみにしています。